
うちの子の”年齢”を感じたら。老犬サロン運営者が伝えるエイジングケアの基本ガイド
背中を優しく撫でているときに、ふと見つけた小さなイボ。
おやつを見つめる瞳が、どことなく白っぽく見える瞬間。
いつもと変わらない愛おしい日常の中で、そんな愛犬の小さな変化に気づいて、胸がきゅっとした経験はありませんか?
「もしかして、歳をとってきたのかな」と、さびしさや戸惑いがふとよぎるのも、それだけ大切な存在だからこその自然な心のゆらぎなのだと思います。
犬たちが重ねる時間は、私たちよりもずっと早いからこそ、その変化に先回りして暮らしを少し整えてあげることが、これからの穏やかな時間を守るための大切なステップになります。
今回は、見逃しがちな老化のサインと、今日からお家で始められるエイジングケアのポイントを、老犬サポートサロンを運営する犬の管理栄養士、高橋ゆきなさんに伺いました。
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そもそも、犬にエイジングケアは本当に必要?

私たち人間と同様に、犬にもエイジングケアは必要と言えます。なぜなら、犬も年齢とともに心や体にさまざまな変化が起こるからです。
こうした老化現象は、放置すると病気につながることも少なくありません。
そのため、エイジングケアを取り入れ、加齢による不調が病気へ進行するスピードをできるだけ緩やかにする必要があります。
例えば、脚力が弱った老犬が、滑り止め対策のない部屋で生活を続けていたとします。そうすると、関節に余計な負担がかかり、関節炎を引き起こしてしまいます。
一方で、早いうちからエイジングケアを意識し、関節に負担がかかりにくい対策をしておけば、歳をとっても関節炎のリスクを下げることができるのです。
もちろん、エイジングケアをしても、加齢による変化を止めることはできません。ですが、愛犬の健やかな時間を延ばしてあげるためには必要なことなのです。
では、エイジングケアを始めておきたい年齢と、老化のサインをチェックしてみましょう。
うちの子のエイジングケアはいつから?目安年齢と老化のサインをチェックしよう

愛犬にエイジングケアを始める目安となるのが、次の2つです。
①シニア期を迎える年齢
②見た目や行動に現れる老化のサイン
老化のスピードには個体差があるので、上記の2つのうちどちらか一方ではなく、両方を目安にしましょう。
ではまず、年齢の目安から詳しくお伝えしていきます。
【犬種別】シニア期に入る年齢の目安

実は、犬種によってシニア期と言える年齢が若干異なります。
愛犬の体の大きさを参考に、以下の表と照らし合わせてみてください。
| 犬種 | シニア期の目安 | 人間の年齢換算 |
| 超小型・小型犬 (10kg以下程度) |
7〜8歳頃から | 44〜48歳 |
| 中型犬 (10〜25kg以下程度) |
7歳頃から | 44〜48歳 |
| 大型・超大型犬 (25kg以上) |
5〜6歳から | 52〜54歳 |
上記の表から分かるように、体が小さい犬ほどゆっくり歳を重ね、体が大きい犬ほど早くシニア期を迎える傾向があります。
ただし、年齢はあくまでも目安にすぎません。人間でも、同じ年齢なのに若く見える人とそうではない人がいますよね。
犬も同様です。それぞれの体質や体調、生活環境によって、老化のスピードは変わってきます。
犬が見せる老化のサイン

では、具体的な老化のサインをみていきましょう。
老化のサインは、愛犬の見た目や行動の変化として現れますが、気づきにくいものもあります。
日頃からスキンシップをとり、様子をよく観察しておくことが大切です。
加齢で起こる見た目の変化
| ・鼻や口の周りから、白髪が増えはじめる ・全体的に毛量が少なくなる ・抜け毛が増え、毛があまり伸びない ・太りやすい、痩せやすい ・涙やけや耳の汚れが出やすい ・体の色々なところにイボが出る ・目の奥が白っぽくなる ・口臭が強くなる など |
見た目の変化は分かりやすいものが多いですが、ある日突然サインが現れるというよりは、徐々に変わっていくものと言えます。
イボや体重の変化、口臭などは病気が関係していることもあるので、注意しておきましょう。
加齢で起こる行動の変化
| ・眠る時間が以前より増える ・疲れやすくなり、活動量が減る ・段差でつまづいたり、高いところに登れなくなる ・食べ物の好き嫌いが増えたり、ご飯を残す ・怒りっぽくなったり、頑固になる ・以前より甘えん坊になる ・暗いところを嫌がったり、動きが悪くなる ・トイレを失敗する ・飼い主への反応が薄くなる など |
行動の変化は特に個体差が大きく、普段の愛犬の様子を把握していないと気がつきにくいものです。
もともと大人しい性格の犬は、特に注意して様子を見ていてあげましょう。
また、上記のような変化を感じた時に、「もう歳だね」と片付けないことが大切です。
眠る時間が増えたのなら、睡眠の質を高めて体力維持につなげるなど、できることはたくさんあります。
それではこの後、代表的なエイジングケアのポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
【まずはここから!】愛犬のエイジングケアのキーポイント

ここでは、エイジングケアの基本ポイントを紹介します。
さまざまなエイジングケアの中から、私が特に重要だと感じている5つをピックアップしました。
|
やっておくべき5つのエイジングケア ①デンタルケア |
どれも重要で、すぐに取り入れられるものばかりです。ぜひチェックしてみてください。
①毎日のデンタルケアで健康寿命を伸ばそう

犬にとって毎日の歯磨きは、健康寿命を伸ばすことにもつながる大切なケアです。
シニア期になると、すでに歯周病で悩んでいる犬や、抜歯をして歯がない犬も出てきます。しかし、放置せずにデンタルケアを行うことで、腎臓病や心臓病などの命に関わる病気の発症や悪化を防ぎやすくなります。
愛犬が口元に触れられるのを嫌がる場合は、無理に歯磨きをせずに、口内環境を整えるサプリメントやおやつを取り入れるだけでも構いません。
できる範囲で良いので、デンタルケアを続けることが大切です。
実は、私の愛犬も長らくお口のトラブルで悩んでいました。
持病の関係でデンタルケアの優先順位が下がってしまったためです。その後、持病は改善しましたが、後年は口内トラブルが大きな負担となっていたように思います。
今でも、「あの時もしデンタルケアをしっかりと続けていたら、何か違っていたかもしれない…」と思うこともあるので、ぜひ愛犬の健康維持のためにデンタルケアを取り入れてみてください。
②安全で安らげる清潔なお部屋をつくる

シニア期に入った犬は、これまで平気だった些細な出来事も体の負担となります。できるだけ健康を維持できるように、先回りして負担のない生活環境を整えてあげましょう。
エイジングケアを意識したお部屋づくりができているか、愛犬が日常的に過ごす場所をチェックしてみてください。
| お部屋のココをチェック!
・フードボウル |
上記のうち、忘れがちなのがお水についてです。実は老犬は、脳の機能低下から自分からあまり進んでお水を飲もうとしないことがあります。
また、多少喉が渇いていても、動くのが億劫で我慢してしまうことも珍しくありません。複数箇所に設置してあげれば、いつでも新鮮なお水を飲めます。
犬も私たち人間と同様に、体の約60%が水でできているので、脱水は体調不良を引き起こします。不足しないよう注意してあげましょう。
③適度な運動と遊び

シニア期に入っても元気な犬はたくさんいますが、それでも活動量は少しずつ落ちていってしまいます。
無理をさせる必要はありませんが、短時間でもいいので毎日散歩に行って筋力を維持しましょう。散歩は気分のリフレッシュや脳への良い刺激にもなります。
家の近くにお気に入りの場所がある子なら、そこで飼い主さんとのんびり過ごすのもおすすめです。ストレスの発散になりますよ。
実は、ストレスが溜まると体内機能が低下し、病気の発症や悪化につながることもあります。甘く見てはいけない恐ろしいものなので、特にシニア期は注意が必要です。
できるだけストレスをためないように、毎日愛犬と一緒に遊ぶ時間をつくってあげてください。それは愛犬の脳を若々しく保つことにつながり、免疫力の維持にも役立ちます。
走り回るような遊びをしなくてもよいので、おやつを使って遊ぶなど、スキンシップを十分に取れる時間を確保してあげることが大切です。
④ごはんとトッピングの量

食事に関するエイジングケアというと、抗酸化食材やサプリばかりが注目されがちです。
ですが、まずはもっと基本的なポイントであるごはんとおやつの量をしっかり守るようにしましょう。
シニア期は代謝や消化吸収能力が低下していく時期です。
そんな時期に食べ過ぎていれば、肥満を招きます。肥満はこれから弱っていく足腰に負担をかけ、内臓疾患の原因にもなります。
一方で、ごはんを食べ残す犬も注意が必要です。1日に食べるべき量をきちんと食べ切れないと、必要な栄養素が不足し、健康を維持しにくくなります。
食事の内容や回数を見直して、必要なエネルギーを食事から補えるように工夫してあげてください。
なお、シニア犬の中には、体内機能の低下や病気の関係で食べていても痩せてしまう犬もいます。詳しい食事管理については、以下の記事で説明しています。興味がある方はぜひ合わせてご覧ください。
「食事管理の記事のリンク」←可能なら設置したいです。回遊して少しでも滞在率が伸びればなと思いました。
年齢を重ねるにつれて、ごはんの問題は必ず出てきます。愛犬に元気があって、ごはんを喜んで食べられるうちは、まず「愛犬に必要な量を守ること」を意識して続けてみてください。
⑤定期的に健康診断を受ける

シニア期に入ったら、体調に気になるところがなくても、半年に1回は動物病院で健康診断を受けるようにしましょう。
健康診断には、病気の早期発見や、正常時の数値を把握できるというメリットがあります。
犬は我慢強い生き物なので、元気そうに見えても実は病気が隠れていることが珍しくありません。特に命に関わるような大きな病気の場合、早期発見・早期治療が重要です。
また、病気にかかっていなかったとしても、健康診断をしておけば、普段の数値をデータとして残しておくことができます。そうすると、愛犬が実際に体調を崩した時に獣医師の診察の助けになるはずです。
とはいえ、健康診断は安いものではありません。「1年に1回でもいいのでは?」と躊躇してしまう飼い主さんもいるでしょう。
しかし、犬にとっての半年は、人でいう約2年分です。年1回の健康診断では、検査の間隔が人でいう約4年分になってしまいます。シニア期に4年分も間隔が空けば、病気の早期発見が難しくなってしまうのは当然です。
私の愛犬は2週間に1回血液検査をしていた時期もあります。見た目にはあまり分からなくても、数値では大きな変動があることもありました。
元気なシニア期を過ごしてもらうためには、最低でも半年に1回の健康診断は欠かせないのです。
まとめ

愛犬がそろそろシニア犬と言われる年齢に差し掛かったら、エイジングケアを取り入れてみましょう。
エイジングケアをうまく活用することで、シニア期の愛犬の生活の質を高めてあげることができます。
| エイジングケアの5つの基本ポイント
|
デンタルケアで健康寿命を意識して、過ごしやすいお部屋づくりで体に負担のないよう配慮してあげましょう。
また、適度な運動と遊びは、ストレスケアに欠かせません。「病は気から」という言葉もあるように、犬にとってもストレスは天敵です。
そして毎日のごはんは、愛犬に必要な量と、実際に食べている量をしっかり把握しましょう。ごはんの内容ばかりに目がいきがちですが、愛犬に合う量を調整することで健康を維持しやすくなります。
また、そういった日々の中で、半年に1回は健康診断に申し込みをしてみてください。動物病院の中には、定期的にキャンペーンを開催して健康診断を受けやすい価格にしてくれているところもあります。
診断結果があれば、より愛犬にあったエイジングケアを見つける手助けにもなりますよ。ぜひ受けてみてくださいね。
皆さんのわんちゃんが、穏やかなシニア期を過ごせますように。
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高橋さん、ありがとうございました。お部屋の環境をほんの少し見直したり、毎日のごはんの量やお水を意識したり。
どれも特別なことではなく、私たちの丁寧なまなざしひとつで今日から変えていける大切なエイジングケアなのだと深く実感しました。
歳を重ねていく愛犬を前にすると、さびしさや戸惑いがふと過ることもあるかもしれませんが、日々のスキンシップや半年に1回の健康診断など、変化を受け止めながら先回りして整えてあげるその工夫すべてが、愛おしい家族の時間になっていくのかもしれませんね。
最初からすべてを完璧に整えようと身構えなくても大丈夫です。
愛犬の今のペースにゆっくりと寄り添いながら、これからの毎日をご家族みんなで穏やかに、あたたかく育んでいけたら素敵ですね。
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