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犬の混合ワクチンは毎年必要?その種類やリスクを獣医師が解説

犬の混合ワクチンは毎年必要?その種類やリスクを獣医師が解説

犬の混合ワクチンは毎年必要?その種類やリスクを獣医師が解説

「混合ワクチンって、本当に毎年打たなきゃいけないの?」
「副作用が心配で、接種を迷ってしまう……」

愛犬の健康を第一に想うからこそ、毎年のワクチン接種に疑問や不安を感じている飼い主様はとても多いのではないでしょうか。

言葉を交わせない大切な家族だからこそ、体に負担をかけるかもしれない決断には、どうしても慎重になってしまいますよね。

今回は、そんな飼い主様の心に寄り添い、専門家である獣医師の浅川雅清先生にお話を伺いました。

2024年に発表された最新のWSAVA(世界小動物獣医師会)ガイドラインの変更点を踏まえ、混合ワクチンの必要性や副作用、接種を控えるべきケースへの対処法まで、インタビュー形式でじっくりお届けします。

愛犬にとって何が一番のベストなのか、これからの健やかな毎日のためのヒントを一緒に見つけていきましょう。

── 浅川先生、本日はよろしくお願いいたします。2024年にWSAVAから最新のワクチンガイドラインが発表され、飼い主様の間でも「本当に毎年必要なの?」という疑問の声が増えているようですが、実際のところいかがでしょうか?

浅川先生:よろしくお願いいたします。そうですね、前回の発表からの変更点を受けて、

「混合ワクチンは毎年必要なの?」
「3年に1回じゃだめなの?」
「ワクチンの副作用ってなんだろう?」

といった疑問を感じておられる飼い主様は非常に多いです。

実は、WSAVAのガイドラインは変更されたものの、その内容が国内の臨床現場や施設に十分に反映されていないケースも多くあります。

混合ワクチンは、愛犬が命に関わる感染症にかかるリスクを下げる重要な予防医療ですが、すべての犬に一律で「毎年必ず接種すべき」とは限らないことをご存じでしょうか。

今回は、混合ワクチンの必要性や種類、副作用、接種を控えるべきケースとその対処法までをわかりやすく解説します。

愛犬にとってベストなワクチンとの付き合い方が選べるように、ぜひ参考にしていただければと思います。

犬の混合ワクチンは毎年必要?

結論から申し上げると、すべての犬に混合ワクチンの接種が毎年必要とは限りません。

ただし、日本では多くの犬で定期的な接種が推奨されています。

例えば、多くのペットホテルやドッグランでは、狂犬病ワクチンと混合ワクチンを毎年接種しているかを確認するために、証明書の提示が求められます。

このように、現在は年に1回のワクチン接種を行うことが主流となっています。

しかし、WSAVAのガイドラインにおいては、コアワクチンに関しては3年に1回の接種が推奨されています。

犬の混合ワクチンの種類とは?

では、犬の混合ワクチンには、どのような種類があるのでしょうか?

ワクチンに関してはさまざまな用語がありますので、まずはそちらを整理しましょう。

①コアワクチンとノンコアワクチン

コアワクチンとは、「世界的に重要な感染症に対するものであり、その防御のために世界中のすべての犬に、推奨された間隔で接種すべきもの」とガイドラインに記載されています。

すなわち、基本的にはどの犬にも接種しましょう、というワクチンです。

具体的な病原体の名前としては、

  • 犬ジステンパーウイルス(CDV)
  • 犬アデノウイルス(CAV 1および2型)
  • 犬パルボウイルス(CPV-2)
  • 狂犬病

が挙げられています。

次に、ノンコアワクチンとは、「個々の動物の地理的要因やライフスタイルによる曝露リスクならびにリスク・ベネフィット比(すなわち、ワクチンを接種しない場合の感染リスクまたはワクチンを接種した場合の有害反応発現リスクと、その感染症から防御されることのベネフィットとの比較)の評価に基づいてその使用が判断される」とガイドラインに記載されています。

すなわち、愛犬の生活環境から感染のリスクが高いと判断される場合は接種しましょう、というワクチンです。

具体的な病原体の名前としては、

  • パラインフルエンザ(CPiV)
  • Bordetella bronchiseptica
  • Leptospira interrogans
  • 犬コロナウイルス(CCV)

などが挙げられています。

②混合ワクチンの種類

次に、混合ワクチンそのものの種類についてです。

現在、日本で主流となっている犬の混合ワクチンは、

  • 5種混合ワクチン
  • 6種混合ワクチン
  • 7種混合ワクチン
  • 8種混合ワクチン
  • 10種混合ワクチン

といった種類が挙げられます。

それぞれに含まれる病原体を以下の表にまとめました。

5種混合ワクチン

CDV、CAV 1および2型、CPV-2、CPiV

6種混合ワクチン

CDV、CAV 1および2型、CPV-2、CPiV、CCV

7種混合ワクチン

CDV、CAV 1および2型、CPV-2、CPiV、Leptospira 2種

8種混合ワクチン

CDV、CAV 1および2型、CPV-2、CPiV、CCV、Leptospira 2種

10種混合ワクチン

CDV、CAV 1および2型、CPV-2、CPiV、CCV、Leptospira 4種

 

犬の混合ワクチンはなぜ毎年?

では、なぜガイドラインに記載されている内容とは異なり、毎年接種することが主流となっているのでしょうか?

最近の研究では、コアワクチンに関しては、接種後3年以上免疫が持続することもわかっています。

そのため、コアワクチンについては3年に1回の接種でも十分な場合があります。

一方で、ノンコアワクチンは免疫の持続期間が短く、毎年の接種が推奨されることが一般的です。

現在日本で発売されている製品は、ノンコアワクチンを含む混合ワクチンが主流であるため、結果として毎年接種することが一般的となっています。

特に、

  • ドッグランやペットホテルを頻繁に利用する
  • 多頭飼育である
  • 河川や山に出かける機会が多い

といった生活環境の犬では感染リスクが高まるため、毎年の接種が推奨されることがあります。

犬の混合ワクチンの副作用とは?

ここまでは、混合ワクチンの必要性と種類について解説しました。

混合ワクチンは基本的に安全性が高いワクチンですが、まれに副作用が起こることがあります。

その副作用には、主にBSA(牛血清アルブミン)が関与していると言われています。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①軽度の副作用

比較的軽度の副作用として、

  • 接種部位の腫れや痛み
  • 元気消失
  • 食欲の低下
  • 軽度の発熱
  • 下痢や嘔吐
  • まぶたや口唇の腫れ

などが、よく起こる症状として挙げられます。

②重度の副作用

比較的重度の副作用としては、アナフィラキシーショックが挙げられます。

ワクチンに含まれる成分に対して急激なアレルギー反応が起こり、

  • 血圧の低下
  • 虚脱
  • 呼吸困難
  • 強い嘔吐
  • チアノーゼ

といった重篤な症状が起こります。

アナフィラキシーショックは、接種直後に起こることが多いため、注意が必要です。

犬に混合ワクチンを打たない方がよいケースとは?

では、混合ワクチンの接種を避けるべき犬は、どのようなケースなのでしょうか?

具体的には、

  • 発熱など体調不良がある
  • 重度の持病がある
  • 過去に副作用を起こしている
  • 妊娠中である

といった場合は、接種を延期または中止することがあります。

私自身の経験としては、てんかん発作の症例で、接種後発作のコントロールが難しくなったことがあります。

また、高齢の犬で、副作用が起きた際に回復が難しくなることが予想される場合、接種を見送ることも少なくありません。

犬に混合ワクチンが打てない場合はどうする?

 

では、前述のようなケースで混合ワクチンの接種が難しい場合、どのように対処すればよいのでしょうか?

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①抗体価検査を活用する

現在は、コアワクチンの抗体価が血液検査で調べられるようになっています。

抗体価が十分にある場合、感染を防御できる免疫が残っているため、ワクチンを接種する必要がなくなります。

②生活環境の見直し

混合ワクチンで防御する感染症は、主に動物や環境から感染します。

そのため、

  • 不特定多数の犬との接触を避ける
  • 河川や野生動物との接触を控える
  • 清潔な飼育環境を保つ

といった工夫を行い、感染を防ぐ対策を行います。

③施設利用時の事前相談

多くのペットホテルやトリミングサロンでは毎年のワクチン接種証明が必要です。

しかし、最近では抗体価検査の証明書や猶予証明書を提出することで、利用可能になるケースがあります。

施設を利用する前に事情を説明し、対応可能か確認しましょう。

まとめ

── 浅川先生、日本の現状や愛犬のライフスタイル、さらには抗体価検査という選択肢も含めた丁寧な解説をありがとうございました。お話を伺って、一律のルールに縛られず、その子の状態をよく見極めることがいかに大切か深く理解できました。

浅川先生:ありがとうございました。接種するかどうか迷った際は、ぜひ一度かかりつけの獣医師に相談してみてください。

「病気から守ってあげたい」という強い想いと、「体に余計な負担をかけたくない」という優しい気持ち。

そのどちらも、愛犬を心から愛しているからこその大切な感情です。

ガイドラインが変わったからといって極端に恐れる必要はありません。

今回のお話にあったように、その子の年齢や体調、そしてドッグランに行く頻度などの生活環境をゆっくりと振り返り、何が一番心地よい選択なのかをみつめてあげたいですね。

大切な家族の健やかな笑顔を守るために、焦らず、獣医師と一緒に歩みを進めていきましょう。