
【助産師監修】イヤイヤ期は成長のサイン。好きなものを選ぶ経験が子どもを育てる理由

「なんでこんなに上手くいかないんだろう」と、急に始まる「イヤ!」の連続に、ふっとため息がこぼれてしまう日もありますよね。
さっきまでニコニコしていたのに、理由も分からず泣き出してしまう。
毎日のようにくり返されると、受け止める側の心も疲れてしまうのはとても自然なことです。
けれどその強い主張は、お子さんが自分という存在をしっかりと育み始めた、とても大切な一歩でもあります。
今回は、そんなイヤイヤ期との向き合い方や「自分で選ぶ」経験の大切さについて、助産師の賀茂綾乃さんにお話を伺いました。
「イヤ!」は反抗ではなく成長のサイン
赤ちゃんの頃の子どもたちは、大人にお世話をしてもらうことが当たり前でした。
抱っこしてもらい、着替えさせてもらい、ご飯を食べさせてもらう。
しかし成長とともに、自分で歩けるようになり、自分で手を伸ばし、自分の行きたい場所へ行けるようになります。
すると子どもたちは気付き始めます。
「自分にはできることがある」
「自分には意思がある」
ということに。
また、この時期は記憶する力も大きく発達します。
「前はこうだった」
「昨日はできた」
「いつもは違った」
そんな経験も少しずつ覚えられるようになります。
一方で、まだ言葉で気持ちを十分に伝えることは難しい時期です。
本当は、
「自分でやりたかった」
「違うものがよかった」
「まだ遊びたかった」
「うまくできなくて悔しい」
そんな気持ちがあるのに、それをうまく言葉にできません。
その結果、すべてが「イヤ!」という一言になってしまうのです。
だからこそ、イヤイヤを単なる癇癪として捉えるのではなく、
「この子は今、何を感じているんだろう?」
「何を伝えようとしているんだろう?」
と考えてみることが大切です。
子どもは「自分で決めたい」生き物
イヤイヤ期の子どもたちを見ていると、「なんでも自分でやりたがる」と感じることがあるかもしれません。
服を選びたがる。
靴を履きたがる。
ボタンを押したがる。
時には大人から見ると遠回りに感じることもあります。
しかし、それは子どもたちが自分で考え、自分で選び、自分で行動したいという自然な欲求の表れです。
私たち大人も、自分で選んだことには納得して取り組めますよね。
子どもたちも同じです。
だからこそ、日常の中で「選ぶ経験」を積み重ねることがとても大切なのです。
選択する経験が子どもを育てる
子どもにとって選択する経験は、単に好きなものを選ぶことではありません。
「自分で決めた」
「自分の意見が受け入れられた」
という体験そのものに大きな価値があります。
例えば、
「今日はどっちの服を着る?」
「どちらの靴で行く?」
そんな小さな選択でも構いません。
自分で選び、その結果を経験することを繰り返すことで、主体性や自己決定する力が育っていきます。
そして何より、
「自分の気持ちは大切にされるものなんだ」
という感覚を身につけていきます。
選べない時は選択肢を減らしてみよう
保護者の方から、
「うちの子は選べません」
「何を聞いても決められません」
という相談を受けることがあります。
そんな時は、その子にとって選択肢が多すぎるのかもしれません。
大人でも、選択肢が多すぎると迷ってしまうことがありますよね。
まずは2つの選択肢から始めてみましょう。
「赤い服と青い服、どっちにする?」
「うさぎのパンツと車のパンツ、どっちがいい?」
このくらいの選択肢であれば、子どもも選びやすくなります。
そして自分で決めたことは、その後の行動にも納得感が生まれます。
小さな成功体験を積み重ねることが、自信へとつながっていくのです。
尊重された経験は、他者を尊重する力になる
私は子どもの選択を尊重することは、その子の未来につながる大切な関わりだと考えています。
なぜなら、自分の意思を尊重された経験は、
「自分は大切にされている」
という安心感につながるからです。
そして、自分が尊重されて育った子どもは、やがて周りの人も尊重できるようになります。
例えば、男の子がピンクを選んだ時。
女の子が黒を選んだ時。
そんな場面で、
「素敵な色を選んだね」
と受け止めてもらえる経験は、
「自分の好きは大切にしていい」
というメッセージになります。
そして将来、
「自分と違う好きも認められる」
人へと成長していくのです。
毎日使うものだからこそ「好き」を選べるものを
子どもたちの生活の中には、たくさんの選択の機会があります。
服や靴、おもちゃだけではありません。
毎日使う水筒やタンブラーも、そのひとつです。
大人からすると色の違いは小さなことかもしれません。
しかし子どもにとっては、
「自分で選んだお気に入り」
であることに大きな意味があります。
自分で選んだから使いたくなる。
自分で選んだから大切にしたくなる。
そんな気持ちも育まれていきます。
好きな色を選ぶことから始まる自己決定
もし水筒やタンブラーを選ぶ機会があれば、ぜひお子さんにも選んでもらってみてください。
「どの色が好き?」
「どれを使いたい?」
そんな小さな問いかけが、自己決定の第一歩になります。
好きな色を選ぶ。
その選択を認めてもらう。
毎日使うたびに嬉しい気持ちになる。
その積み重ねが、「自分で決める力」を少しずつ育てていきます。
イヤイヤ期は大変な時期でもあります。
しかしそれは同時に、自分の意思が育ち始める大切な時期でもあります。
ぜひ日々の暮らしの中で、お子さんの「これがいい!」という気持ちを大切にしてみてください。
その小さな選択の積み重ねが、将来の自己肯定感や、自分らしく生きる力へとつながっていくはずです。
まとめ
賀茂さん、ありがとうございました。
「今日着る服」や「使う道具の色」といった日々の小さな選択を認めてもらう経験が、お子さんの「自分を大切にする心」を育んでいくのですね。
思うように進まない毎日に焦ってしまうこともあるかもしれませんが、最初からすべてを受け止めようと構えなくても大丈夫です。
ふたつの選択肢を用意してみるような小さな工夫を取り入れながら、ご家族のペースで歩んでいけたらいいですね。



