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犬の抜け毛が多いのは病気?その原因と対処法を獣医師が解説

犬の抜け毛が多いのは病気?その原因と対処法を獣医師が解説
Expert's Guide

犬の抜け毛が多いのは病気?その原因と対処法を獣医師が解説

「いつもはそんなに気にならないのに、最近うちの子の抜け毛が急に増えた気がする……」

ブラッシングをしても次から次へと抜ける毛を前に、何か大きな病気が隠れているのではないかと不安になってしまう飼い主様は少なくありません。

言葉で不調を訴えられない大切な家族だからこそ、日常のふとした変化にハラハラしてしまうお気持ちはとてもよく分かります。

今回は、そんな飼い主様の不安な心に優しく寄り添い、専門家である獣医師の浅川雅清先生にお話を伺いました。

季節による自然な抜け毛と病気による抜け毛を見分けるポイントや、その背景にある原因、お家でできるケアから動物病院での検査まで、インタビュー形式でじっくりお届けします。

愛犬の健やかで美しい美毛を守るためのヒントを、一緒に見つけていきましょう。

── 浅川先生、本日もよろしくお願いいたします。今回は愛犬の「抜け毛」についてお伺いしたいのですが、ブラッシングの手が止まらなくなるほど毛が抜けると、「何か病気のサインなのでは……」と心配される飼い主様はとても多いですよね。

浅川先生:よろしくお願いいたします。

そうですね、いつもはあまり毛が抜けない愛犬なのに、抜け毛が多くなると心配になりますよね。

「最近、愛犬の抜け毛が急に増えた気がする」
「ブラッシングしても次から次へと毛が抜ける」

そんな愛犬の様子を見て、「何か病気のサインなのだろうか?」といった不安を感じておられる飼い主様は実際にたくさんいらっしゃいます。

実は、犬の抜け毛は季節によって増減するのが一般的ですが、なかには病気が隠れているケースもあります。

今回は、犬の抜け毛が多い場合に考えられる原因や対処法、受診の目安についてわかりやすく解説します。最後までお読みいただき、愛犬の抜け毛について理解を深め、不安を解消していただければ幸いです。

犬の抜け毛が多いのは病気?

結論から申し上げると、愛犬の抜け毛が多いからといって必ずしも病気とは限りません。

犬種によって抜け毛の量は異なりますが、犬には毛周期があり、正常でも抜け毛が見られます。

特に、春と秋にはいわゆる「換毛期」があり、古い被毛が抜け新しい被毛へと生え変わります。

しかし、皮膚トラブルやホルモンの病気などにより、抜け毛が増えることも少なくありません。

犬の抜け毛が増えたときに気を付けるべき症状とは?

では、生理的な抜け毛と病気による抜け毛を見分けるには、どのようにすればよいのでしょうか?

その方法の一つとして、抜け毛以外の症状がないか観察することが挙げられます。

具体的には、

  • 皮膚や耳をかゆがる
  • 皮膚に赤みや湿疹がある
  • 体重が増えた/減った
  • 水をよく飲む
  • おしっこの量が増える
  • 嘔吐や下痢をする
  • 元気がない

といった様子が見られる場合は注意が必要です。

このような症状が伴う場合は、早めに動物病院を受診することを心がけましょう

犬の抜け毛が増える原因とは?

では、犬の抜け毛が増える原因はどのようなものが考えられるのでしょうか?

その原因は大きく「生理的な原因」と「病的な原因」に分けられます。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①生理的な原因

生理的な原因としては前述の通り、季節による換毛期が挙げられます。

春と秋に多く見られ、

  • 柴犬
  • ゴールデン・レトリーバー
  • ポメラニアン
  • ミニチュアダックスフンド
  • コーギー
  • シーズー

といったダブルコート犬種でよく起こります。

②病的な原因

病的な抜け毛としては、以下の表に示すような病気が原因として考えられます。

皮膚疾患

内分泌疾患

その他

アトピー性皮膚炎
膿皮症
皮膚糸状菌症
外部寄生虫(ノミ・ダニ)
食物アレルギー
パターン脱毛症

甲状腺機能低下症
クッシング症候群
(副腎皮質機能亢進症)
性ホルモン関連性皮膚症

栄養不良
心因性(ストレス)
アロペシアX
腫瘍

 

犬の抜け毛が増えたときの対処法とは?

では、愛犬の抜け毛が増えた場合は、どのように対処したらよいのでしょうか?

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①動物病院を受診する

まずは、抜け毛が病気によるものではないかどうかを、一度獣医師に確認してもらいましょう。

特に高齢の犬ほど、病気が原因で抜け毛が増えている可能性が高くなります。

前述のような注意すべき症状がないかどうかも併せてチェックしましょう。

また、ストレスとなる要因がないか、季節による抜け毛ではないか、といった点も確認すると、より判断しやすくなります。

②適切なブラッシング

病気による抜け毛ではない場合は、日頃のこまめなケアが対策の中心となります。

特に、毎日のブラッシングは抜け毛対策の基本です。

毛質に合ったブラシを使用し、皮膚を傷つけないよう優しくブラッシングを行いましょう。

③シャンプーやスキンケアの見直し

シャンプーは、頻度が多すぎても少なすぎても皮膚トラブルの原因になります。

一般的には月1〜2回が目安ですが、愛犬の皮膚の状態によって調整が必要です。

また私自身の経験上、シャンプー剤が皮膚に合っていない場合や、保湿剤が必要な場合も少なくありません。

④食事や栄養の改善

皮膚や被毛の健康は、外側からのケアも大切ですが、内側からのケアも大切です。

良質なたんぱく質やオメガ3脂肪酸を豊富に含むフードは、皮膚と被毛の健康維持に重要であることが知られています。

犬の抜け毛に動物病院で行う検査とは?

では、実際に動物病院を受診した場合、どのような診察や検査が行われるのでしょうか?

一般的に動物病院では、抜け毛の原因を特定するために、症状に合わせたさまざまな検査が行われます。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①身体検査

身体検査では、実際に犬を診察し、どの部位に抜け毛があるか、皮膚の状態がどうなっているかなどの確認が行われます。

そのほか、体重の変化や皮膚以外に異常が無いかなどの確認が行われます。

②皮膚掻爬検査

皮膚掻爬検査は、鋭匙という器具を用いて、皮膚に寄生虫がいないか確認する検査です。

主に寄生虫による抜け毛が疑われる場合に行われます。

③細胞診検査

細胞診検査は、顕微鏡を用いて、抜け毛が起きている皮膚の細胞や細菌を確認する検査です。

膿皮症から腫瘍まで、幅広い皮膚の病気で用いられる検査です。

④培養検査

培養検査は、原因と思われる細菌や真菌を培養して特定する検査です。

膿皮症や皮膚糸状菌症などの診断によく用いられます。

⑤血液検査

前述の通り、皮膚の病気以外の病気が原因となって、犬で抜け毛が起こることも少なくありません。

そのため、全身の状態を把握するために、一般的な血液検査が行われることがあります。

⑥アレルギー検査

犬の抜け毛の原因としてアレルギーが疑われる場合は、採血を行いアレルギー検査が行われることがあります。

アレルゲンを特定し避けることで、抜け毛の治療を行う場合もあります。

まとめ

── 浅川先生、一見ただの抜け毛に見えることでも、実は全身の健康状態を知るための重要なバロメーターになっているのですね。お家でのケアのポイントも含め、丁寧な解説をありがとうございました。

浅川先生:ありがとうございました。気になる症状がある場合は、些細なことと思わず、いつでも私たち獣医師にご相談くださいね。

愛犬のふわふわの被毛に触れる時間は、飼い主様にとってもかけがえのない癒やしのひとときですよね。

だからこそ、いつもと違う抜け方をしていると、小さなことでも胸がざわざわしてしまうものです。

お話にあったように、大切なのは「抜け毛」という一面だけを見るのではなく、元気があるか、お水を飲む量が変わっていないかなど、愛犬の「全身のサイン」に目を向けてあげること。

病気ではないと分かれば、日々のブラッシングや食事の見直しといった、愛情いっぱいのスキンケアで寄り添ってあげることができます。

焦らずに、愛犬の体と心を優しく見つめながら、一歩ずつ進んでいきましょう。