
チワワがなりやすい病気とは?日頃気を付けるべき点を獣医師が解説
うるうるとした大きな瞳に、手のひらに包まれてしまいそうなほど小さな身体。
その愛くるしい姿で、多くの飼い主様の毎日を優しく癒やしてくれるチワワ。
アニコムの「家庭どうぶつ白書2025」の人気ランキングでも2位に輝くほど、本当にたくさんの方から愛され続けている犬種ですよね。
けれど、その身体があまりにも小さく繊細だからこそ、
「この子たちの健やかな毎日を守るために、どんな病気に気をつけたらいいんだろう?」
「お家の中でできる予防や、負担を減らすケアはあるのかな……」
と、これからの健康について不安や疑問を抱えている飼い主様も少なくありません。
今回は、そんな飼い主様の心にそっと寄り添い、専門家である獣医師の浅川雅清先生にお話を伺いました。
チワワならではの犬種的な特徴から起こりやすい病気や、お家での環境づくり・首輪の選び方、そして動物病院での早期発見のためのヒントまで、インタビュー形式でじっくりお届けします。
大切な愛犬が、これから先もずっと笑顔で元気に過ごせるためのステップを、一緒に見つけていきましょう。
── 浅川先生、本日もよろしくお願いいたします。今回は大人気のチワワについてお伺いしたいのですが、その小さく愛らしい身体ゆえの健康管理や、気をつけるべき病気について心配されている飼い主様はとても多いですよね。
浅川先生:よろしくお願いいたします。
そうですね、チワワは純血種の中でも特に小さい犬種で、大きな瞳が可愛らしいことから、とても人気がある犬種です。
実際に、アニコムの「家庭どうぶつ白書2025」によると人気ランキングの2位にランクインしていますが、一方でほかの犬種と比べ、チワワで起こりやすい病気がいくつか知られています。
こうしたなかで、
「どんな病気になりやすいのだろう?」
「どのように病気を予防してあげたらいいのだろう?」
「定期的に受診した方がいいのだろうか?」
といった疑問をお持ちの飼い主様は非常に多いです。
今回は、チワワがなりやすい病気や日頃の生活での注意点をわかりやすく解説します。
最後までお読みいただき、愛犬の健康管理に役立てていただけると幸いです。
参考:アニコム「家庭どうぶつ白書2025」
https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202512.pdf
チワワがなりやすい病気とは?

アニコムの「家庭どうぶつ白書2025」によると、チワワがかかりやすい病気には、
- 気管虚脱
- 膝蓋骨脱臼
- 弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)
- てんかん
といったものが挙げられています。
それぞれの病気を詳しく見ていきましょう。
①気管虚脱
「気管」とは、鼻や口から吸った空気を肺に送るための通り道です。
通常、気管はC字の形をした「軟骨」によって筒状の形を保っています。
しかし、その軟骨を円形に保つことができず、気管が平らに潰れてしまう病気が「気管虚脱」です。
気管虚脱が起きると、空気の通り道が狭くなり、「ガーガー」という咳や呼吸困難が起こることがあります。
また、生まれつき気管が細い場合は、子犬の頃から症状が見られるケースもありますが、一般的には老犬になってから症状が強くなることが多いです。
気管虚脱は、一度発症すると自然に元の状態へ戻ることは少なく、長期的な治療が必要となる病気であるため、対策には日頃のケアが重要です。
②膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、膝の関節にある「膝蓋骨」が、太ももの骨の溝(滑車溝)から脱臼してしまう病気です。
チワワの場合、内側に外れてしまう「内方脱臼」という状態が多く見られます。
膝蓋骨脱臼の主な原因は「遺伝」といわれており、成長の過程や外傷などが原因で脱臼しやすくなることが一般的です。
また、肥満や生活環境によって膝の関節に負担がかかることで、症状が悪化することが多いです。
さらに、膝蓋骨脱臼を放置して膝の関節に負担がかかると、膝の関節にある「前十字靭帯」という靭帯を痛めてしまい、手術が必要になるケースも少なくありません。
③弁膜症
弁膜症とは、心臓の部屋を隔てる「弁」に異常が起こる病気です。
特にチワワでは、「僧帽弁閉鎖不全症」が起こることが多いです。
「僧帽弁」とは、左心房と左心室を隔てる弁のことで、血液が左心室から左心房へと逆流するのを防ぐ役割をしています。
しかし僧帽弁閉鎖不全症では、加齢とともに僧帽弁が変性し、うまく閉じなくなることで隙間から血液が逆流します。
その結果、血液を全身へうまく送り出せなくなる、というのが僧帽弁閉鎖不全症という病気です。
④てんかん
てんかんとは、脳の異常が原因で、けいれんのような発作を起こす病気です。
なかでも多いのが「特発性」のてんかんで、主に「遺伝」が関連していると考えられている、原因がはっきりわからないてんかんのことをいいます。
またチワワでは、「水頭症」など脳の奇形が原因で、てんかんを起こすことも少なくありません。
チワワを飼う際の注意点とは?

では、これらの病気を予防するためには、日頃どのようなことに注意すればよいのでしょうか?
具体的には、
- 運動の時間を作る
- 食事管理に気を付ける
- デンタルケアを行う
- 室内の環境を整える
- 定期的に健康診断を受ける
といった点が挙げられます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①運動の時間を作る
チワワは愛玩犬であるため、必要な運動量は多くありません。
一方、膝蓋骨脱臼では、筋肉量が低下すると膝蓋骨が脱臼しやすくなるといわれています。
そのため、1日1~2回、1回15~30分程度の散歩は行うようにしましょう。
膝蓋骨脱臼や気管虚脱、弁膜症の悪化の原因にもなる「肥満」への対策としても、運動はとても大切です。
また、お散歩の際は首輪ではなくハーネスを使用し、気管への負担を軽減してあげましょう。
②食事管理に気を付ける
特に避妊・去勢手術を行っている場合は、肥満になりやすい傾向にあります。
肥満は関節や心臓、気管への負担を増やすだけでなく、さまざまな病気のリスクを高める原因となります。
定期的に体重を測定し、適正な体型を維持できるよう、フードやおやつの量を管理するようにしましょう。
また、食事管理と併せて、サプリメントで関節や心臓のサポートを行うことも選択肢の一つです。
③デンタルケアを行う
近年、歯周病に関連する細菌が、心臓や腎臓の病気と関連しているといわれています。
そのため、歯周病を予防するためにも、毎日のデンタルケアが大切です。
まずは口元を触られることに慣れさせ、少しずつ歯ブラシに慣れさせていきましょう。
どうしても歯ブラシが難しい場合は、デンタルガムやふりかけタイプなどを活用するのも一つの方法です。
④室内の環境を整える
膝蓋骨脱臼の悪化要因の一つに、膝関節への負担が挙げられます。
滑りやすい床で走り回ったり、段差の乗り降りをしたりする間に、足を滑らせて膝関節を傷めてしまうことも少なくありません。
そのため、
- 滑りにくい床にする
- カーペットを敷く
- 段差に登らせない
- スロープを設置する
といった工夫を行い、膝関節への負担を軽減してあげましょう。
⑤定期的に健康診断を受ける
特に僧帽弁閉鎖不全症では、早期発見・早期治療が重要といわれています。
心臓病の症状としては、
- 運動を嫌がる
- 疲れやすい
- 咳をする
といったものが挙げられますが、病気が進行するまで気づかれないことも少なくありません。
動物病院で定期的に聴診を行い、心臓の「雑音」を早期に発見することで、進行する前に病気を見つけられることがあります。
「体調に問題がないから」と考えず、気になる症状がなくても定期的な健康診断を受けさせてあげましょう。
まとめ

── 浅川先生、チワワならではの気をつけるべき病気から、フローリング対策やハーネス選びといった暮らしの中の具体的なアドバイスまで、本当に分かりやすく教えていただきありがとうございました。
浅川先生:ありがとうございました。
チワワは身体が小さく、日々の管理が難しく感じられるかもしれませんが、そのぶん飼い主様の細やかな愛情がそのまま健康に繋がります。
気になる症状がなくても、気軽に定期健診に連れてきてあげてくださいね。
うるうるとした瞳で見つめられたり、腕の中にすっぽりと収まって甘えられたりする時間は、何にも代えがたい幸せな瞬間ですよね。
身体がとても小さいからこそ、気管や関節、心臓の病気といったお話を聞くと、「もし何かあったら……」と心配になってしまうこともあると思います。
でも、過剰に心配しすぎる必要はありません。
毎日の生活の中で、フローリングにマットを敷いてあげたり、お散歩を首輪からハーネスに変えてあげたり、おやつやフードの量を少し気にかけてあげる。
そんな飼い主様の優しい「日常の手間ひま」こそが、愛犬の身体を優しくいたわる最高の予防になります。
そして、言葉にできない小さなサインを見逃さないために、動物病院での聴診や定期健診というプロの目を上手に頼りながら、大切な家族との愛おしい日々をあたたかく、一歩ずつ歩んでいきましょう。



