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犬を飼うと子供は変わる?成長に影響するメリットとデメリットとは

犬を飼うと子供は変わる?成長に影響するメリットとデメリットとは

犬を飼うと子供は変わる?成長に影響するメリットとデメリットとは

子どもから「犬を飼いたいな」とまっすぐな目で言われたとき。

うれしそうな表情に共感しつつも、毎日の暮らしやこれからの大変さを想像して、ふと立ち止まってしまうことってありますよね。

命を迎えるということは、簡単に決められることではないからこそ、悩むのは当然の優しさなのだと思います。

でも同時に、犬と過ごす時間が子どもたちにどんな宝物をくれるのだろう、と想像を膨らませる瞬間もあるのではないでしょうか。

今回は、犬を飼うことが子どもの成長にどんな変化や良い影響をもたらしてくれるのか、ご自身の体験や研究データをもとに、犬の管理栄養士である高橋ゆきなさんにお話を伺いました。

家族のこれからの形を優しく見つめる、ひとつのきっかけになりますように。

犬が子どもに与える5つのメリット

イギリスの犬の詩

「子どもが生まれたら犬を飼いなさい」というイギリスで有名な詩があるように、犬と暮らしている子どもには大きなメリットがあると言われています。

犬が子どもに与える5つのメリット
1 乳幼児期の発達をサポートする
2 社会性や共感性が高まる
3 こころの安定につながる
4 健康維持に役立つ
5 責任感が養われ、命の尊さを学べる

犬が子どもに与える良い影響については、発達や心理、健康などの複数の観点から多数の研究がなされています。

ただ、知っての通り、子どもの成長には遺伝や環境も影響するものです。また、犬の性格や飼育環境によっても結果が変わるため、因果関係が完全に確立しているとは言えない研究もあります。

そのため一概には言えませんが、私自身も研究で示されているようなメリットを実感できたことがありました。では、どんなメリットが得られるのかこれから詳しくご説明します。

メリット①乳幼児期の発達をサポートする

赤ちゃんと犬

犬を飼っていると、3歳までの乳幼児期の発達(コミュニケーション能力や粗大運動など)をサポートできる可能性があります。

これは、犬が子どもに直接影響を与えているわけではありません。犬がいることで、親の行動が変化し、そのことが子どもに影響しています。

例えば犬がいると、「わんわんだよ」「お水を飲んでいるね」など、犬を介した子どもへの声がけが増えますよね。

また、子ども自身が部屋の中で犬を追いかけたり、体に触れたりすることもあるでしょう。こういった行動は、コミュニケーション能力や運動能力の成長に良い影響を与えます。

つまり、犬がいると子どもの成長に関わる刺激が自然と増えていく、ということです。

実際、私の子どもの場合は、愛犬の存在がコミュニケーション能力の成長に良い影響を与えていたように思います。

発語が比較的早く、お友達への気遣いや理解力については、よく周囲から良いお言葉を頂いていました。

今思うと、子供が愛犬の毛を鷲掴みにしたり尻尾をひっぱったりする度に、「今、わんちゃんはこういう気持ちだよ。やめてあげようね。」などの声がけをよくしていました。

赤ちゃんだった子どもがその言葉をどこまで理解できていたかは分かりません。ですが、表情や行動から相手の気持ちを察する「非言語コミュニケーション」を学ぶ良いきっかけになっていたのではないかと思います。

ただ正直、私の子どもの場合は、運動能力の発達はあまり早くはありませんでした。愛犬と一緒に遊んでいましたが、犬もあまり活発に動き回るタイプではなかったので、その影響もあったのかもしれません。

※参考:家庭での犬の飼育と3歳時点の子どもの発達との関連


メリット②社会性や共感性が高まる

犬と幼児

犬を飼っていると、お世話やスキンシップを通して、共感性や社会性などが育ちやすい環境が作られると言われています。

愛犬のためにごはんを用意したり、毎日ブラッシングをして毛並みを整えてあげたりすることは、他者のことを考えて行動する練習になり、共感性を育む良いきっかけになります。

そして、そういった私たちの行動ひとつひとつに、全身を使って愛情を返してくれるのが犬という生き物です。

もちろん、お世話の仕方を間違えたり、犬の気持ちを考えない行動を取れば、怒りや恐怖から吠えたり噛んだりすることもあります。

子どもたちは、そういった犬の表情や行動から、相手の感情を読み取ることを学ぶことができるのです。

また、犬と散歩に出れば、同じ様に犬を飼っている人たちと挨拶を交わしたり、立ち話をしたりして、自然と交流が生まれます。

年齢や性別を問わず色々な人と会話をすることができるので、いつの間にか社会性が育まれていくでしょう。

実際、犬を飼っている子どもは、そうではない子どもと比較して、引きこもりや思考の問題、非行行動、攻撃行動などを起こしづらい傾向があるという研究データもあるほどです。

また、こうした効果は子どもだけではなく、孤独になりやすい子育て中の親にもメリットとなります。

私も、毎朝毎晩、子どもと一緒に犬の散歩をしていたので、たくさんのご近所の方が話しかけてくださり、お知り合いが増えました。

やがて、ベビーカーに乗っていた子どもは歩くようになり、リードを引っ張って歩いていた愛犬は、歳をとってカートに乗るようになりました。そういった変化も、ご近所の方が一緒に見守ってくれました。

そんな日々の中で、子どもの社会性と同時に私の社会性も育まれていたと思います。このことからも、犬は人とのつながりを広げてくれる素晴らしいパートナーと言えるでしょう。


※参考:思春期に犬を飼うことは腸内細菌叢を変化させ、精神的健康を改善する


メリット③こころの安定につながる

犬と小学生

愛犬と信頼関係を築けるようになると、触れ合ったり目が合ったりすることでオキシトシンというホルモンが分泌されます。

オキシトシンは心の安定につながるホルモンで、本来は親子の触れ合いや恋愛関係にあるパートナーとの接触で分泌されるものです。

別名「愛情ホルモン」や「幸せホルモン」などと呼ばれています。

ですが多くの場合、親子間のスキンシップは子どもの成長に伴い減っていきます。それが犬を飼っていれば、オキシトシンが分泌される機会が日常的にあると言えるのです。

安心できる愛犬という存在がすぐそばにいる環境は、ストレスが軽減されやすく、ポジティブな感情が生まれやすいと言われています。

犬は自分を否定せず、常に受け入れてくれる存在です。特に小学生以上の多感な子どもにとっては、精神的な支えになってくれるでしょう。

実際、犬を飼っている子どもは幸福度が高い傾向があることを示唆する研究もあるそうです。これは私自身、とても納得できました。

犬を飼うと、飼ったことがある人にしか分からない幸せが訪れると思っています。

参考:オキシトシンによる人と犬の関係性


メリット④健康維持に役立つ

中学生と犬

犬を飼うことで、子どものアトピーやアレルギーのリスクを低下させたり、免疫機能の発達をサポートできる可能性があります。

犬と聞くと、逆に犬アレルギーを誘発させるのではと思いますよね。

でも実は一部の研究では、幼い頃から犬と暮らしている子どもは免疫機能に良い影響を受ける可能性があるとしています

これは、犬が家庭内に持ち込む様々な微生物と知らず知らずのうちに接触していることが理由です。

例えば、子どもが犬に触れたり舐められたりすると、菌が皮膚に付着します。また、自宅の空気中に舞う、犬が運んできた様々な菌をいつの間にかに吸い込んでいます。

そうやって子どもの体内に入った多様な菌や微生物が、腸内細菌叢のバランスに良い変化を起こすことがあるそうです。

もちろん、菌が良い影響を与えると言っても、不衛生な環境は子どもにも犬にも悪影響となるので、その点は注意しましょう。

また、もっとシンプルに、犬の散歩やドッグランへの外出など、外へ出る機会が増えることも子どもの健康維持に役立つ理由です。

超小型犬でも1日2回は散歩に連れ出すことが推奨されるため、子どもをSNSやゲームから離す時間をつくることができます。

私の子どもも比較的インドアではありますが、愛犬の散歩のついでに一緒に外遊びをすることができたので良かったです。

参考:子ども健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)

メリット⑤責任感が養われ、命の尊さを学ぶ

亡くなった犬と子供

犬を飼うと、散歩や食事の準備などのお世話を毎日しなければなりません。子どもと一緒に世話をすることで、自然と責任感が養われます。

このとき、母親だけが犬の世話をしていると、愛着や責任をそれほど感じない子どももいます。子どもの成長に合わせてできる範囲のことで構わないので、積極的に関わってもらうと良いでしょう。

2〜5歳程度の小さな子どもなら、一緒に散歩に行ったり、ごはんやおやつをあげるなどの簡単なお世話でも十分です。初めは親子で取り組んでいた犬のお世話も、そのうちひとりで挑戦してくれるようになりますよ。

私の子どもは、3歳ごろになると、散歩中の愛犬のうんちの処理を進んで申し出てくれるようになりました。

また、10歳を超えるくらいの子どもであれば、1人で犬を散歩に連れ出したり、食事の量を管理したりといったこともできるようになるでしょう。

そうしたお世話の経験があるからこそ、愛犬が亡くなったときに命の尊さを知るきっかけになるとも言えます。命の大切さは、言葉で教えようとしても難しいですよね。

いつもすぐ側にいた存在が、突然居なくなってしまうこと。悲しみや喪失感に襲われるけれど、日常は続いていくこと。

こういったことを、犬はその生涯を通して教えてくれます。私の場合、自分の子どもがそういった経験を通して何か変わったのかと聞かれると、正直うまく説明できません。

ですが、かけがえの無い経験をして、成長の糧になったであろうという確信はあります。

子供がいる家庭が犬を飼うデメリット

部屋を荒らす子犬

犬は子どもに多くのメリットを与えますが、デメリットがないわけではありません。

犬を飼うデメリット
①時間や労力が取られる
②経済的な負担
③ケガのリスク
④犬アレルギーのリスク

まず、大きなデメリットとしてあげられるのは、時間と労力の負担です。犬を飼うと、想像以上に犬の世話に時間が割かれます。

特に子犬は目が離せず、トイレや無駄吠え、噛み癖などのしつけも必要です。抜け毛や足裏についた細かい砂などで部屋は汚れ、家で排泄をするので初めは臭いも気になるでしょう。

また、長時間の留守番は犬の負担となるため、外出もある程度制限されます。

そして、経済的な負担が大きい点も重要です。フード代・トリミング代・予防費用代・用品代など、毎月必ず出費があります。また、病気や怪我で動物病院を受診すれば、1度で何十万円もかかるケースもあります。

それに、怪我のリスクがあるのは犬だけではありません。子どもが犬に嫌がることをしたり、遊びで度を越してしまったときなどは、噛まれてしまうこともあります。必要なしつけをしっかりと行い、大人が見ていてあげなければなりません。

そして、子どもの体質によっては犬にアレルギーを起こしてしまう可能性もあります。疑わしい場合は事前に医師への相談が必要です。

このように、犬を飼うということは良いことばかりとは言えません。家族全員がデメリットを理解し、犬を飼うことに納得していることが重要です。

特に子どもがまだ小さい場合は、絶対と言っていいほど母親の体力的な負担が増えます。家族で協力し合える環境であることが大切です。

子供が犬を飼いたいと言ったら…迎える前に知っておくべきこと

部屋で眠る子犬

犬はデメリットを上回る幸せをくれる生き物ですが、そのぶん、魚や虫のように飼育が簡単なペットではありません。お迎えする前に、次のことを頭に入れておきましょう。

犬を飼う前に知っておくべきこと
・犬にもそれぞれ個性があります。
(犬種の特性を事前に学んで、ライフスタイルに合う犬を選びましょう。)
・犬は群れで暮らす生き物です。
(家族に迎えたら、留守番ばかりさせずに犬と一緒に過ごし、愛情を示す時間を作りましょう。)
・犬にはしつけが必要です。
(お互いに気持ちよく暮らせるように、正しいしつけ方を学んで教えてあげましょう。)
・犬の一生は人よりも短いです。
(健康管理の仕方を学んで、健やかに過ごせるようにしてあげましょう。)

ペットショップには可愛い子犬がたくさんいますが、勢いでお迎えせずに、犬との暮らしを調べてみてから決断してくださいね。

まとめ|犬は子供にいい影響を与えてくれる貴重な存在

子どもと遊ぶ子犬

犬は、子供の情緒の発達に良い影響を与えてくれるペットと言えます。

乳幼児期の発達をサポートし、社会性や共感性を高め、精神的な安定をもたらしてくれるでしょう。

さらには、腸内細菌の構成に影響を与えて健康維持に役立つ可能性があったりと、目に見えないところでも子どもにメリットを与えてくれます。

私の愛犬も、その生涯を持って子どもにたくさんのことを教えてくれました。子どもだけではなく、私にとってもそうです。多くの論文で示されているように、幸福度の高い毎日を送ることができたと感じています。

ですが、犬を飼うと大変なこともたくさんあります。特に時間の制限や経済的負担などは、子どもがいる家庭ではよく検討すべき点でしょう。

「犬を飼いたいな」と思ったときは、まず犬を知ることから始めてみてください。


高橋さん、ありがとうございました。犬と暮らすことで育まれる社会性や心の安定、そして命の尊さを学ぶ経験は、子どもたちにとって何にも代えがたい大切な心の栄養になるのですね。

ただ、お世話に必要な時間や経済的なことなど、現実的な負担を家族みんなでしっかり受け止めることも、同じように大切なステップなのだと改めて感じました。

最初からすべてを完璧に整えようとしなくても大丈夫です。

まずは家族で一緒に犬のことを学び、これからの暮らしの歩幅を少しずつ話し合うことから、優しい物語を始めていけたらいいですね。

※この記事は、関連性を示す研究を参考に解説しました。